第1章

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鈴斗が制止するも、雅は聞く耳を持たない。 帯に挿した扇を右手で勢いよく開くと、その先端の曲線へ沿うように小型の魔法陣を幾重にも配置。 顔の下半分を扇子で隠すように、優雅な構えを取った。 「良いです。私も、力を示さなきゃいけないですから」 「無理すんなよ」 「鈴斗、心配性です」 そして、雅はもう一方の手を前に突き出すと、手の甲を下に向け、指を倒した。 掛かって来い。 無言だが雄弁な挑発に、恭二郎は容赦しなかった。 「――……ッ」 滑るような足運びを見せた瞬間、《Hooliguns》の爆発的な脚力は、高速で恭二郎を雅の元へと運ぶ。 放たれるのは、小柄な雅の腹部を抉り取るための掌底。見れば、掌の中央には小さな砲口が開いており、掌底の着弾と合わせて衝撃波が吹き出す仕組みとなっていた。
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