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「――……!!」
一瞬というタイミングで踏み込んできた恭二郎に対し、雅が選んだのは回避。
掌を掠めるようにしてその場に屈むと、護符の形をした細長い魔法陣を左手の人差し指と中指で手挟んだ。
「要求加護 : 一撃絶対防御」
それは恭二郎の次の一手を読みきった伏線。
掌底を外した恭二郎は、踏み込んだ右足を軸に回転。左足で回し蹴りを放ってきたのだ。
「ぐっ!?」
蹴りは護符型の魔法陣に着弾するが、防御術式のかかったそれを、恭二郎が貫くことは出来ない。
そこへ生じた僅かな隙に、雅は扇に配した魔法陣を展開した。
「魔力奉納 : 三十単位 : 柏手 : 毘沙門天による武装強化」
刹那、雅は巨大な武器を手にする。
手にした扇をそのまま巨大化させたような魔法陣が、雅の右手に握られたのだ。
だが、それは正確には魔法陣ではない。
形、模様こそ似ているが、れっきとした武器なのだ。
扇形の一辺の長さは10メートル。切っ先は入り口の門構えにまで届いている。
「行くです……っ!」
扇の巨大な面積を活かすように、雅は空間を扇ぐように武器を振り下ろした。
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