第1章

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「パワー押しだけじゃイカン気がするのです!」 「ウチの売りってそれじゃなかった?」 「違うよっ! いや違わないけどさっ!」 どっちよ、と莉緒菜はさらに笑みを濃くする。その笑顔は妹を世話する姉のようなそれだ。 莉緒菜にクリームを拭われているのは、先日、聖城学園へスーパーシード権を与えるかどうかの会議に出席していた少女だった。 北海道札幌南高校、戦争部、部長。 羽生茜 (はにゅう・あかね) である。 彼女は腕を組んで難しい表情をすると、小首を傾げた。 「そろそろパワー押しだけじゃイカン気がするのだけど、具体的にどーすればいーのかわかんないんだよね」 「テクニックを身につければ良いじゃないの?」 特に考える気もなく言った莉緒菜だが、茜は真面目に考えていたらしく、険しい表情のままだ。
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