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「クソ~、7時50分。また遅刻かよ。」
川沿いの空地てでため息をつく少年、水馳龍雅(みずはせ・りゅうが)は、自分のケータイ電話の時計を見つめる。
三人。
朝からこんな人数相手をするのは素でツライ。
「タクッ、何で毎朝相手しなきゃいけねんだよ!」
龍雅はケータイ電話をポケットにしまい、辺りを見渡す。
龍雅の周りには、気絶した人が三人横たわってい
る。
「昨日も遅刻しちまったし…、こりゃー単位やばいかもな。」
龍雅はちゃんとした高校生でしっかり毎日学校に通っているが…。
この頃、かなりの人数と相手するのが多い気がするし、喧嘩する時間も長くなってきたし、街ではもう危険人物扱いだし、最初の時より一段と強くなってるし…、相手が。
龍雅はしゃがみ込む。
「あんなことしなきゃよかった…。」
一ヶ月前どこかの族の頭なんか殴らなきゃこんな事にはならなかった。まさかそいつが、ここら辺で一番強いとは…。
おかげで、毎日毎日不良に追いかけられるは、殴った族の頭になるは…。
「俺の、(沢山の友達と可愛い彼女との青春!)と言う夢は、入学して一週間で散って閉まった。」
彼女はできる訳無いし、友達はいるけど悪い友達バッカリ…。
過去を振り返り肩を落とす龍雅の耳にある音が聞こえる。
ブルルルルン!
ブルルルルン!!
聞こえてくる音はバイクの音。
「やばっ!」
聞こえた瞬間素早く逃げようとする龍雅に、一斉に聞き慣れた声達がきこえる。
「アニキ~!!」
聞こえなかった事にしよう。
「あっ!待ってください!アニキー、アニキー」
せっせと、落ちていたカバンを拾い自分の通学路に帰ろうとする龍雅に慌てて声をかける。
「アニキー待ってくださいよ~。」
一刻も早く逃げようとする龍雅の周りにに42台のバイクが止まる。1番前にいた奴がバイクから降りてこっちに向かってくる。
革ジャンを着た男が龍雅の前で足を止める。
「久しぶりっす!」
革ジャン男は、ヘルメットをとる。そこには見慣れた少年の顔があった。
「また、お前らか…。」
「またって、ひどいですよアニキー。」
「だからアニキって呼ぶんじゃね!」
素で嫌がる龍雅に少しショック受ける少年は一度苦笑するが、すぐに話を変える。
「龍雅さん、今日も喧嘩したんですか?」
「ああ、まぁな。」
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