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今日も平和な一日が始まる。
…
「はぁはぁはぁ」
あれから結構走ったらしい…。多分、どこかの住宅地だろう。民家がたくさん並んでいる。さっきまで見えていた川も、もう見えていない。
龍雅は民家の塀に寄り掛かり、呼吸を整える。
「アニキ~何処ですか~!」
「そこのバイク達!止まりなさい!」
近くで多数のバイクとパトカーの音が聞こえてくる。
龍雅は塀から、自分が走って来た道を覗いてみる。
岳斗達は龍雅がいる反対方向の道を走って行く。
よし、なんとか巻いたか。
龍雅はため息をはく。
「まったくしつこい奴らだ。」
ガキィィン!!
「ぐっ」
龍雅の頭に痛みがはしる。
ドサッ
「よっしゃ~。やったぜ。今からおれが最強だ~!」
龍雅は倒れながら頭を触ってみる。
「痛って。」
手を見てみると、ドロッとした血がついていた。
クソッ。追っ手に気をとられ、周りを見ていなかった。あいつをぶん殴ってから、最強の座を狙って俺に挑んでくる奴ら出てきた。毎日何処から何をしてくるかわからない。一応気にしてるつもりだったが…。
龍雅は頭を押さえながらフラフラと立ち上がり、殴った奴を見る。
三人…。
殴った奴の他に二人立っている。
「おい、まだ生きてるぞ。」
「あ゛?」
一人の男がしゃべると、真ん中にいた奴が龍雅を睨む。そいつの手には血がついたバットをもっている。
コイツか。
「まだ息があんのかよ。」
口にピアスをした男はバットを肩にのせる。バットには龍雅の血と誰だかわからないが、違う血がついている。
「あのバットで、何人もやってきたってわけか。」
龍雅は小さくつぶやく。
コイツは骨のある奴かもしれね~。ましてや、その他に二人もいたら…。
「さすがは[元]最強。バットで頭ぶん殴っても倒れねーのか。だてに最強名乗ってわけじゃあねえみていだな。」
カッチン!
龍雅の我慢が解放される。
「別に名乗った覚えはね~よ!勝手に俺を最強にしたのはお前等じゃあね~か!」
「おいおい、何キレてんだよ。大丈夫、今から最強は俺になるからよ。安心して死ね。」
クソッ!こっちはやりたくて最強やってんじゃあないんだよ!
一度考えた。他の奴にわざと負ければこの地獄から逃れられると思ってた。けど、新しく最強になった奴が負ければ、勝った奴が疑問をもち、結局俺に挑んでくる…。
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