第一章/包帯とドラゴン

7/17
前へ
/17ページ
次へ
「包帯に血がついてる!」 「怖っ!」 「も~何でこの街にいるのかな~。早く消えてほしんだけど。」 「ちょっと声大きい!聞こえちゃうでしょ!」 …。 バッチリきこえてるっつ~の。 龍雅は聞こえてくる自分の悪口を聞き、腹を立てる。女子高生は立ち止まりこっちを見ている。 「くっそ~、言いたいこと言いやがってぇ~。」 龍雅は前から見てくる女子高生達と目をあわす。 「きゃっ!」 「やばいっ!睨まれた。」 「怖い怖い。早く行こ!」 女子高生達は来た道を引き換えしていく。 「フンッ!」 ちょっとイラッてしたけど…、目を合わせただけでこれだもんな~。 龍雅は歩きながらため息をつく。 いつもこうだ。道とか店屋とかでも、俺が入ると店員ビビって逃げるし、売り物売らないとか言うし、目が合っただけで倒れるし、しまいには俺を店に入れてくれない店もある。 「俺が何したって言うんだよ。」 龍雅は落ち込みながら、通学路を歩く。チラッと回りを見ると、買い物に来た人達や、店の準備をしている人、学生達がこちら見ながら話している。 「やっぱり…きついな…。」 龍雅はつぶやきながら頭をかく。頭を怪我している事を忘れて…。 ガリッ! 「イッテェー!」 頭をかいていた指が傷口に当たり激痛がはしる。龍雅は頭を抱えしゃがみ込む。 あっ。やばい…。あまりの痛さに大声で叫んじゃあった。 龍雅はしゃがみながら頭だけ上げ、回りを見ると…。 「だ、誰もいない…。」 さっきまでいた、買い物に来ていた人達や学生達はまったくみやたらないし、店の準備中だった店員はシャッターが下ろし消えていた。 「ある意味…、すごいな…。」 本当にそうおもう。すごい速さだ。今の速さで陸上コート走らせたら、間違いなく高タイムが出そうな速さだ。 龍雅は立ち上がり歩きだす。 龍雅はいつも通っている繁華街足を踏み入れる。 ここはこの街で一番にぎやかな場所なのだが…今はほとんどの店は閉まっている。べつに潰れたわけじゃあない。言ってしまえば、龍雅が通り過ぎるのを待っているのだ。そんな寂しい繁華街を歩く。 これも、いつもどうり…。 龍雅が歩いていると、たった一つだけシャッターが下ろされていない店があった。店の名前は棋渓(ぎたに)クリニックと書かれている。 「あっ、確か包帯切らしてたな…。買いに行くか。」 龍雅はその店に足を運ぶ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加