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「包帯に血がついてる!」
「怖っ!」
「も~何でこの街にいるのかな~。早く消えてほしんだけど。」
「ちょっと声大きい!聞こえちゃうでしょ!」
…。
バッチリきこえてるっつ~の。
龍雅は聞こえてくる自分の悪口を聞き、腹を立てる。女子高生は立ち止まりこっちを見ている。
「くっそ~、言いたいこと言いやがってぇ~。」
龍雅は前から見てくる女子高生達と目をあわす。
「きゃっ!」
「やばいっ!睨まれた。」
「怖い怖い。早く行こ!」
女子高生達は来た道を引き換えしていく。
「フンッ!」
ちょっとイラッてしたけど…、目を合わせただけでこれだもんな~。
龍雅は歩きながらため息をつく。
いつもこうだ。道とか店屋とかでも、俺が入ると店員ビビって逃げるし、売り物売らないとか言うし、目が合っただけで倒れるし、しまいには俺を店に入れてくれない店もある。
「俺が何したって言うんだよ。」
龍雅は落ち込みながら、通学路を歩く。チラッと回りを見ると、買い物に来た人達や、店の準備をしている人、学生達がこちら見ながら話している。
「やっぱり…きついな…。」
龍雅はつぶやきながら頭をかく。頭を怪我している事を忘れて…。
ガリッ!
「イッテェー!」
頭をかいていた指が傷口に当たり激痛がはしる。龍雅は頭を抱えしゃがみ込む。
あっ。やばい…。あまりの痛さに大声で叫んじゃあった。
龍雅はしゃがみながら頭だけ上げ、回りを見ると…。
「だ、誰もいない…。」
さっきまでいた、買い物に来ていた人達や学生達はまったくみやたらないし、店の準備中だった店員はシャッターが下ろし消えていた。
「ある意味…、すごいな…。」
本当にそうおもう。すごい速さだ。今の速さで陸上コート走らせたら、間違いなく高タイムが出そうな速さだ。
龍雅は立ち上がり歩きだす。
龍雅はいつも通っている繁華街足を踏み入れる。
ここはこの街で一番にぎやかな場所なのだが…今はほとんどの店は閉まっている。べつに潰れたわけじゃあない。言ってしまえば、龍雅が通り過ぎるのを待っているのだ。そんな寂しい繁華街を歩く。
これも、いつもどうり…。
龍雅が歩いていると、たった一つだけシャッターが下ろされていない店があった。店の名前は棋渓(ぎたに)クリニックと書かれている。
「あっ、確か包帯切らしてたな…。買いに行くか。」
龍雅はその店に足を運ぶ。
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