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カランカラン!
入ると聞き慣れた音が鳴った。店の中は狭く、学校の下駄箱状に、薬の置かれた棚が三つ並んである。
「お~い。おっちゃんいるか~?」
龍雅は店のレジに叫ぶ。カウンターには人影はない。龍雅は右から一番目の棚に近づく。
「え~っと、包帯、包帯っと。」
「お~、龍雅じゃあね~か!」
龍雅は声がする方を向く。向いた方には、ボサボサ髪を赤い鉢巻きで止めオールバック。ちょっとあごひげが似合うダンディなおっさんがレジに立っていた。
「ご無沙汰だな!」
「そうだな。ご無沙汰だな。んっ?お前また喧嘩したんだな。」
おっちゃんと言われてる人は龍雅の頭に巻いている包帯を見て言う。
このおっちゃんは、俺の知り合いで、そして命の恩人なのだ。本名は柁璃竜也(かじりたつや)と言う。恩人って言うのは、俺が喧嘩して大怪我をした時“ちょうど”通りかかって俺の怪我の手当をしてくれた人。昔は医者をやっていたらしく、腕は本物。俺が医療関係が身につい他のは明らかにこの日との影響だ。
「まぁ…。」
「んで、勝ったんか?」
「まぁね。」
おっちゃんは喧嘩が嫌いではないらしい。俺が大怪我した時も陰で観戦していたらしい…。できれば助けてほしかった、と今でも思う。
「そうか、強いなお前は。」
「そうか?」
「だけど、お前は喧嘩すると必ず怪我をするな。怪我をしないで倒せねぇのか?」
「努力はしてるけど…。なかなか上手くいかなくて。」
本当にそうだ。確かに相手には勝てるけど必ずと言っていいほど、何処かを怪我する。だからホウタイ・ドラゴンと呼ばれるようになる。
「そこを改善しねぇと、怪我がたまっていつかやられるぞ。」
「べつに強くなりたいわけじゃあねぇよ。」
「現に、今最強じゃあねぇか。」
「そうだけど…。」
「それに、“最強じゃなくちゃいけないんだろ。”」
「……、ああ。」
そう、俺には最強いなければいけない理由がある。絶対に最強をやめてはいけない理由…。
龍雅は少しうつむく。
「でっ!今日は何買いに来た?」
おっちゃんは気を使ったのか、話題を変える
「あっそうだった、え~と包帯買いに来たんだがあるか?」
「ホウタイドラゴンが包帯買いに来たとは…、面白い話しだな。」
「おっちゃんまで…、やめてくれよ。傷つきはしないけど。こうもたくさん言われると…。」
「あ~、悪かった。もう言わねぇ~よ。」
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