頬を抓って痛いからって現実とは限らない

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ガチで真剣だったことにハッキリ言って引いてる俺を、 男はまた信じられなそうな目で見ながら固まっている。 様子から察するに、多分自分の攻撃を簡単に避けられてショックなのだろう。 なんつう自信家……。 結構見切るのに苦労しない剣筋だったんだけど。 「お前…何者だ…?」 漸くフリーズ状態から戻ってきたのか、 男は呟くように聞いてきた。 さっきも聞いた質問に、俺は苛立ちを込めて返す。 「だぁからー、日本人だって。 さっきも言ったろー?」 「ふざけるのもいい加減にしろ!斬られたいのか!?」 「あんたに俺が斬れんのか!?」 男もさっきとなんら変わらない返答に苛立ったのか、 声を荒げた。 それに呼応するように、俺も声色を強める。 途端、男は言葉を噤み押し黙った。 そしてこの失礼野郎を蹴り飛ばしたい気持ちをなんとか抑え込み、 ため息をついてから俺は改めて言葉を紡ぐ。  
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