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結局、あの後こいつはあのまま意識を失ったらしく、
俺がおそるおそる近くに寄ってその顔を覗き込む時には、
すでに気絶していた。
見たこともない着物を着ていたが、意外と生地は薄いようで、
しかも裸足だった。
そのせいか手足は冷え切り、
体の所々が凍傷しかけていた。
正直最初は、殺した方がいいんじゃないかと思った。
今なら、気絶してしまっている今なら、
殺せる。
確実な、とどめを。
そう思って刀の柄に伸ばされた手は、一瞬止まる。
俺はじっと、
無意識と言っていいほどいつの間にか、
目の前の(本人曰わく)女の顔を見つめていた。
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