とりあえず誰か水を一杯くれないか

8/26
前へ
/1104ページ
次へ
「オラとっとと座れ。 夕餉にすんぞ」 そう言いながら、 男は囲炉裏の前まで行きドスンと座る。 それからジロリと俺を見た。 座れ、 そう言ってるのが伝わってくるような眼差しだ。 選択肢を、与えないような眼。 なんていうかね、 …うん怖い。 渋々、おそるおそる、そろそろと、 俺も囲炉裏の前へ行き、 男と向かい合うように座った。 それを見て満足したのか、 男はよし、という風に頷いて鍋の蓋に手を伸ばす。 なんだよその…… 勝ち誇ったような頷き…! パカ、と軽い音を出して蓋を開けると、 なんとも美味しそうな匂いが部屋を漂った。  
/1104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7074人が本棚に入れています
本棚に追加