とりあえず誰か水を一杯くれないか

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「まあそう怒るなよ。 ちょうど飯が炊けた、 持ってくっから」 クックック、と肩を揺らして笑いながら、 男は部屋を出た。 しっつれーなヤツ!! そんな笑うことか!? なぁそうなのか!!? でも飯…… そっかこの香ばしい匂いはご飯が炊けた匂いか。 そこまで考えてから、 変だな、と俺は首を傾げる。 「アイツ、なんも言わなかったな…?」 不思議だった。 さっきまで、 今にも斬り殺そうという目を俺に向けていた男が、 (多分だけど)俺を保護してる。 俺はあのまま気を失ったハズ。 その間に殺すこともできただろう。 けど現実、俺は死んでるどころか傷ひとつない。 布団で寝かされ、食事までもらっている。 これじゃまるであの男が俺を助けたみたいだ。 その上部屋を出るとき逃げるなともなんとも言わなかった。 「……変なの」 ぼそりと、1人呟く。 それに、 やっぱりあの顔どっかで…… うーん、どこで見たかな。 家族や親戚ではないし、 友達にも…似た人はいない。 なんかこう、 写真とかで見た気が…… 雑誌かな? キレイな顔だし、モデルかも。  
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