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「おい」
悶々と記憶を辿っていると、
男が通っていった襖の向こう側から、
男の声が聞こえた。
突然思考を中断されたもんだから、
ビクッと肩が揺れる。
「なん、何っ!?」
「なぜ慌てる」
やべ、ドモった!
「いや…別に、なんでも?」
「そうか?」
………ん?あれ?
「……あの、
なんで入って来ないの?」
俺たちは、
未だに襖を挟んだ状態で会話していた。
「ああ、
飯桶とか持ってて両手ふさがってんだ、
開けてくれ」
「あ、うん。
ちょっと待って」
そっかだから入って来ないのか。
俺は立ち上がって、
いそいそと襖の前に向かう。
―――ピタ、
開けようとする手を、一瞬止めた。
……まさか刀構えてたり、しないよな…?
だって、銃刀法違反者だし。
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