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念のため、
少し襖から距離をとり、いつでも動けるように備える。
スラッ
少し勢いをつけて開けた。
そこには、
炊きたてのご飯が詰まっているであろうお櫃と、
鋳物っぽい材質の……急須?
その他細々したものの載ってる大きめのお盆を持った、
あの男。
刀は腰に差してはいるが、
抜かれてはいない。
俺は内心ホッと胸を撫で下ろした。
「おうありがとな。
ついでに閉めてくれ」
「あ?ああ、うん」
俺が開けた襖を通りながら、
男が俺に言う。
俺は素直に応じた。
「……そんな警戒しなくても、
もう斬る気はねえ。
そこだけは約束する、信じろ」
自分の座布団に座りながら、
突然男がそう台詞を吐く。
俺は少し目を見開かせて、男を見た。
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