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それから、食事は続けられたが特に会話もなく。
テレビもラジオもないから、
変な沈黙のまま夕食は終わった。
カタン、
茶碗の中身もお椀の中身も空になり、
シメとしてなのかお茶を最後に啜ってから、
早々と男は食器を片づけ始めた。
軽い、乾いた音を立てながら、
さっきのお盆の上に空の食器が載せられていく。
俺も男と同じくらいのタイミングで食べ終わっていたので、
一緒に俺の食器も片づけようと彼の手が伸びてきた。
それに気づいた俺は慌てて声を出す。
「片づけ、俺も手伝う。
えぇっと……いい?」
万が一の為、この家の見取り図を把握しておきたい。
そうすれば、脱出経路もある程度頭に入れておける。
……かもしれない。
「ああ、助かる」
一応、承諾を得る形で申し出ると、
男は快く応じた。
まあにこりとも笑わなかったけどね!!
なんなんだこの仏頂面はなんなんだ。
人の腹の音でしか笑えないのか、え?
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