大好きな姉さん(完

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ロリーナ姉さんに向かって銀色のナイフを持ちながら私は走る、男に向かって泣いているロリーナ姉さんは少し反応が遅れた。 それは、一瞬だった。 そして、ロリーナ姉さんは私だけの可愛いロリーナ姉さんとなった。 「ロリーナ姉さん…、やっと、手に入れた」 涙が溢れた。この涙は何だろう。冷たい、冷えきった涙が私の頬を流れる。 「………おや、間に合いませんでしたか」 ロリーナ姉さんを抱きしめる私の前に一人の男の姿があった。ロリーナ姉さんは私が手に入れた。その安心感にも似た感情で、男に警戒することはなく、その男の姿を見た。 銀色の髪に、真っ赤な瞳。綺麗な赤色の服。真っ白な兎の耳。人間ではない男に、私は驚くこともなく、ただ見つめた。
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