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男はつまらなさそうに私を見ながら、溜め息を付いた。その瞳はどこか寂しげに見える。
「貴女は私を見ても何の反応もしないのですね。姉と違って」
「興味、ないから」
ロリーナ姉さんの知り合い?そう首を傾げたが、この男のことなんてどうだっていい。
「そうですか、私の貴女には興味はありません。しかし、貴女のせいで国のバランスを壊されるのは、非常に不愉快です」
「……何の話」
「ロリーナは、これからこの世界とは違う、虹色の世界に行く予定でした」
何だかロリーナ姉さんを奪われそうな不安がよぎって、私はロリーナ姉さんをより強く抱き締めた。
「ロリーナはアリスではない、しかし虹色の世界に行けることは出来た。虹色の世界に行きたい心と子供の心、彼女にはあったのに」
「貴女が台無しにした」
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