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黒兎は無表情のまま小さく頷いた。俺にはその無表情は悲しそうな表情に見えた。
「僕かはわからない。でも、多分…僕なんだと思う」
「ふぅん?」
こんな真っ黒いだけの奴が怖いねぇ…。全然怖そうには見えないけど。ただ、大きいハサミには少しゾクッとする。
「君は、僕が怖くないの…?」
「はぁ?怖い?俺は、あんたなんかにびびったりしねぇよ。ただの兎だろ」
俺はそう言った後、黒兎を見たら、さっきまでの無表情なんてなかった。
切なさ、怒り、悲しみ、全てがまじったような瞳で俺を見ていた。
「アリスには分からないよね。僕の役割なんて。嫌でも、抗えない。逃げられない」
「黒兎…?」
「僕は…!僕は、黒兎なんて役は嫌だったのに!みんなから嫌われる仕事なんてしたくなかった…!」
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