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「……はぁ、本当にこれが最後だからな」
「マジで!? やっぱ持つべきものは、金貸してくれる友人だな」
とうとうレイドの方が折れた。頭を緩く振りながら、財布を取り出そうとしている。俺はそれを嬉々として見守ることにした。
レイドは、「最後だ」と言いつつも、最終的には結局いつも助けてくれる。冷たいそぶりをとっていても、本当は優しいことを俺は知っている。困っている奴を放っておけない性分なんだろう。そしてそれを知っているからこそ、こいつにはついつい頼ってしまいがちになる。
長くそうしてきたせいか、もうそれを情けないと感じる事はなくなっていた。それが良い事なのか、悪い事なのかは分からないが、こんな関係が俺は好きだ。
「なぁ、別嬪の兄ちゃん。あんた、金がないのか?」
俺が柄にもなく恥ずかしいことを考えていると、見ず知らずの男が声を掛けてきた。
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