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そんな感じで、今も数十人の、それぞれ自分の武器を携えた男や女が、気の会う仲間と酒を飲み交わしている。そのうち、半数以上が俺達を見ていた。
見世物じゃねぇと怒鳴ろうかと思ったが、そこまで自分を可哀相な人間にはしたくなかった。
「友達甲斐のない奴ってのは、お前のためにある言葉だな!」
「ダチにたかる奴に、そんな事言う資格ありませんー」
奴が嫌味を言うときの、やたら人の神経逆撫でする口調で俺を非難する。それでもここで引き下がるわけにはいかない。
仕方がないので、奴の目を盗んで一口失敬することにしよう。一口だけっていうのは、俺のなけなしのプライドが働いたせいだ。こんなプライド、なくてもいいと我ながら思う。
「あーあ、もっと羽振りのいい友達掴まえとくんだったな」
さりげなくレイドの隣の椅子に座る。
奴は俺を、紫紺の瞳でちらりと見ただけで、後は興味なさそうに視線を前に戻した。一瞬合った視線に、侮蔑の色が混じっていたのには気付かなかったことにしておこう。
それはさておき、レイドの手は酒の入ったグラスから離れない。まずは、あれをどうやって離すかだ。
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