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そして、俺の悲痛な願いにも、レイドは首を縦には振らなかった。っていうか、多分聞いてない。
「今回は何に使ったんだ」
何を、とは聞かなくても分かる。
レイドは、俺の金欠の理由を聞いているのだ。その理由を聞いた後のレイドが取るであろう態度を考え、俺は答えを直ぐには言えなかった。
「……新作の……銃とか、小型爆弾とか……その他武器諸々」
しばしの間の後、俺は正直に告白する。
俺の告白を聞き終えたレイドが俺の予想通り、静かに長く、そして深く息をついた。要するに溜息だ。
「なぁ、ヴァース。俺は学習能力のないバカが大っ嫌いだって、何回言った?」
「仕方ねぇだろ!」
机を強く叩いた。派手な音は、更に人の注目を誘ったが、俺はもう気にしない。
「衝動買いだったんだよ! 気付いたら部屋の机に並べてたんだよ!」
「なおさら悪いわっ!」
俺の言い訳にもならない言葉に、レイドはすかさずツッコミを入れる。なかなかのコンビネーションだ。
とまぁ冗談はさておき、そういうこと。俺の貧乏の原因は、俺自身の趣味――武器収集にあるわけだ。
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