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「でもさぁ、使えないものに金掛けるよりマシだろ?」
「お前……家に使ってない武器、腐るほどあるだろう」
痛い所を突いてくるね、彼は。こいつの言う通り、俺の家には今まで買った武器が、使われもせずに眠っている。
「あれは、いつか使うんだよ。……いつか」
「じゃあ、それ全部使い切ったら新しいのを買え。それで万事解決だ」
「それで俺の衝動買いがなくなるなら、万事解決だけどな」
冷たく言い放つレイドの言葉を聞きながら、胸の前で組んだ腕に、俺は顔を埋める。
金欠なのは毎度のことだが、その度に自分の癖に悩まされる。
「いい加減、ヴァルシェを探したらどうだ。お前がその気なら、軍に掛け合ってもいいぞ」
レイドの心遣いは有難い。軍になら、俺のヴァルシェが務まる奴もいるかもしれない。
だが、俺はその気遣いを何度も断ってきた。人と付き合うのに疲れた、というのが言い訳だ。レイドのような、気のおけない友人となら上手くやれるかもしれないが、生憎こいつにはアリスという美人のヴァルシェがいる。残念ながらアリスは男なので、羨ましくもなんともない。
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