営内班。

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 堂麟の入営から二ヶ月が過ぎた。 この日堂麟が所属する工兵第1中隊第2小隊第2分隊は、小田原から最寄の練兵場(れんぺいじょう。演習場。)迄 手掘り行軍 の後射撃演習を行っている。  手掘り行軍とは文字通り、自らの手(前足)で地中を掘りながら行軍する事である。 一昔前迄モグラ社会では当り前だった 手堀りで地中を掘りながら進む という行為も、地鉄が開通し世の中が次第に便利になっていった事により、近年ではモグラといえども近所なら兎も角遠距離を自らの手で掘り進む事は、極めて珍しくなっていたのだ。 十河達はこの日、重さ4キロ(モグラ世界の単位。人間界のそれとは当然異なる)の小銃を担ぎながら、小田原から強羅にある陸軍の練兵場迄掘り進んだのである。 参加した兵卒に言わせれば、正直な話疲れた等という生易しいものではなく、いつ倒れてもおかしくない荒行である。 しかし倒れてはならないのが、モグラ帝国陸軍の花形である工兵隊の伝統なのだ。
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