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外に出れば風は生暖かく、俺の身をなぜる
高校があり時間はあまりない。事件に深入りは出来ないが少々見るくらいなら問題はないだろう
制服に身を包んだ俺は今、ヤジウマの中に紛れ込んでいた
そんな人々の間を掻い潜ってビルを包囲するパトカーにまで近づく
ひどい有り様だ。監視カメラがずたぼろに破壊され、ロックがかかっていたであろうガラスの扉まで破壊されている
外から見ただけでは手に入る情報はその程度か…。中で何が起こっていたのか察しもつかない
「おや、楠くんも来ていたのかい」
誰かが後ろから呼ぶ。つい振り返ってみれば、そこには警察の服をまとった男がいた
「相変わらず警察の服が似合ってないですね富沢さん」
富沢あきら。通称富沢。彼は俺のアパートの隣人である。つい最近警察に入り期待の新人だとか(自称)
「ははは、この服は鉄の心臓を持つ者しか着られない名誉ある服なんだよ?」
「なら心臓に毛が生えた程度の富沢さんには必要ないですね」
無情に切り返す。きっと彼は心を許すとめんどくさいタイプだ。そう思う
「しかしひどい有り様ですね…。強化ガラスの扉まで破壊するなんて…」
顔をすこし歪ませて言う
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