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翌日の朝。
『じゃあ森に聞いてみるよ、どこかに精霊の力の集まりがないかどうか』
「はい、お願いします!」
『この辺だけで聞いても仕方ないし……よし、いっちょやるか!』
ウルは言うやいなや本来の姿に戻り、森霊蛍環を放った。
リンユとリンクはウルの姿に言葉を飲んだ。
美しい、と表現するには言葉が足りない。それほどの衝撃的な美の顕現に、ただ見とれていた。
数分すると朝靄の中から緑の光を放ちながら森の返事が返って来た。
『……うん。ここから遥か南、マチュアナ大陸近くの森へと移動してるみたい。それに東側の海からもたくさんの幻人達が移動してるみたい……急がないと!!』
「え!?は、はい!リンクさん!リンユさん!」
「「おぅ!」」
今度は、小型化したウルを懐に入ったのをしっかり確認してからカイトに股がり、三人は飛び立った。
カイトは、ドラゴンの一種であるが、人と共生を始めたのは古の神代である。それより数千年、人と契約を交わすことで力を相互して高めてきた。
人の感情を察知し、言葉を理解するカイトは今、その本来持つ野生の力を放とうとしていた。
「ちょ、カイト!?そ、そんなにスピード、だ、出して大丈夫!?ぐっ―――…
トームの心配を他所にカイトは空を貫くように飛んでいく。
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