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ふぅ…やっと寝れる。
土方さんの部屋を出てからは、一君の寝巻みたいなのを借りてバタバタ風呂に入った。
一応、守に見張りについてもらいながら。
守曰く、ここ女人禁制らしいし。
今はちょうど一君と布団を敷き終わったところだ。
襖を開けると風が入り込んできて、俺の髪を優しく揺らす。
俺は縁側に座った。
今日は満月だ。
夜空の黒色に満月と星が映える。
やっぱり星がたくさん見えるな…
無駄な町の明かりがないからか…
…綺麗だ…
「…綺麗だな。」
いつの間にか隣に一君が座っていた。
黒髪は風に揺れ、月明かりに照らされた一君の横顔。
…こっちも綺麗なんですけど。
うわぁ…まじ絵になる男。
「ほんと…綺麗です。」
二つの意味でね。
「…これからよろしくな」
俺、一君の小姓か…
「なんでも言ってくれよな。
俺、一君の小姓頑張るから。」
そう言って俺は一君を見て微笑みかけた。
すると一君は俺の顔から目を離さなくなった。
ちょっ、そんな綺麗な顔で見つめないで欲しい。
「なっ、なんだよ。一君」
「…君はいらない。」
あ?って…あぁ!
一「君」ってやつか!
「…一でいいのか?」
「…あぁ」
一は満足そうに少し微笑んでいる。
全く…俺までつられて微笑んでしまう。
なんだか、二人で見る満月はより綺麗に見えた。
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