第三章

2/20
前へ
/128ページ
次へ
まだ太陽が昇っていない頃、俺は目を覚ました。 いつもの俺なら絶対寝ているが、なんてったって、腹が減った。 そういえば昨日の夜は何にも食べていなかったし。 隣を見ると守ではなく、一が寝ている。 改めて俺は、江戸時代にいることを実感した。 俺は静かに立ち上がり、布団を片付け、あらかじめ一に借りておいた袴に着替えた。 …一がちゃんと寝ていることを確認して。 俺は一の髪を結う紐で髪を一つに、一みたいに高い位置で束ねた。 俺の髪は真っ黒で、鎖骨に届くくらいまで伸ばしてした。 だからいつも低い位置で一つに束ねていた。 こっちの世界では紐っぽいのみたいだけど、さすがに結び方は知らないから、適当に結んだ。 ってか、平成ではポニーテールだよな。 そんなことを考えて苦笑いする。 俺は一を起こさないように、忍び足で静かに部屋から出た。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加