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洗面所へと向かってからは、朝食の準備へと取り掛かる。
俺と守の両親はいない。
亡くなったらしい。
何故だか分からないが俺は12歳までの記憶が無いから、両親のことは覚えていない。
別に思い出したいと、それほどまで思わない。
無理に思い出そうとしたら、頭痛がする。
それに、俺は自分のことはちゃんと覚えていた。
俺は、春良大貴(ハルヨシヒロキ)17歳。
ちなみに守は15歳。
生活するのに困るようなことは忘れていない。
それだけで今は十分だ。
毎日俺は必死に働かなくちゃいけない。
守は頭がいいから、大学まで行かせてやりたい。
守のためなら仕事だって辛くない。
俺は今に一生懸命なんだ。
今の俺に過去は必要ない。
朝食が出来上がり、守に声をかけに行く。
「守~、起きろ~。朝食できてるからな」
肩を揺すり、声をかける。
「…ひろ兄?…おはよう」
目をこすりながら、眠たそうに起きる、我が弟。
…くそっ!かわいさが半端じゃない。
髪は茶髪っぽい黒髪で、寝癖はつかずにふわふわしている。それに童顔。
高校生になんて全然見えない。
こりゃ、いろんな女の子を虜にしてるな。
「ひろ兄…僕のこと変な風に見てないよね?」
「……当たり前だろ!!」
「なに、その間。」
ジト目だ…。守からジト目を注がれる。
痛いっ!心がっ!俺の繊細なプラスチックのハートがっ!
…あっ、プラスチックなら大丈夫か。
「ひろ兄、ほらご飯食べよ」
心の葛藤の間に着替え終わった守に背中を押され、料理の並んだ机の前の椅子に座る。
俺は断言しよう!ブラコンだと!
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