第三章

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道場は俺が迷っていた場所に近く、すぐに着いた。 俺達は中に入っていった。 道場の中は外見よりは、広く見えた。 「大貴、私と勝負しませんか?」 総司が満面の笑みで言ってきた。 でもさぁ、総司って、天才剣士って言われてたよな? …俺なんかが太刀打ちできるのか…。 「ん~…やめとくよ。」 別に戦いのために道場来たわけじゃないしな。 「まぁまぁ、そんなこと言わずに。 …木刀持ってきますね。」 そういうと、奥の方に行ってしまった。 俺の意見聞いた意味ないじゃん。 はぁ…。 「はい、どうぞ。 一本取ったら終了ですからね。」 「…あぁ。」 やる気満々だな、おい。 まぁ…、負ける気はしないけど。 俺は笑った。 俺たちは道場の真ん中の方へ行き、礼をすると構えた。 「それじゃあ、始め」 総司が始めの合図をかけてくれたが、どちらも動かずに、殺気を放ち始めた。 「来ないなら、私から」 総司は物凄い速さで踏み込み、攻撃してきた。 目にも留まらぬ速さだが、俺はにやりと笑った。 これは、楽しくなりそうだ。 俺は攻撃を受け流し続ける。 本物の男と真正面から戦うなんてのは利口じゃない。男と女の力の差は歴然としている。 女で鍛えてもやはり限界はある。 俺は両親がいないことでいじめられることが多かった。殴られたり蹴られたりは普通だった。 その時に学んだのは、力で無理なら…ほかのもので補うということ。 だから俺は速さ、体力を磨いた。 「受け身ばかりではやられてしまいますよ?」 総司が余裕の表情で挑発してくる。 「…油断大敵だぜ?」 俺も負けじと笑って見せる。
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