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「大戦中の最前線に思いを馳せたり、ファンタジー小説中の主人公に降り懸かる試練なんかを考えてみればさ――
『現実逃避も死に物狂いの戦いも必要のない日常が、幸せというものなんだろうか』
――なんて、ちょびっと哲学的な事を考えるのは、学食で昼食を食べながらする事じゃない
と思うのは、僕だけだろうか」
「……安心しろ。 お前だけだ。」
学食、昼食中。
大して意味もない、というか既に迷言レベルの僕の独り言に律儀に反応した声の主は、同じクラスの古畑 登
目の前で学食オリジナルチャーハンにがっついている、背の高い彼と僕との関係を簡潔に言い表せば、親友。
ついでに寮でのルームメイトでもある。
「……このチャーハン、しょっぱくない?」
「そうかぁ? ウマいぜ?」
「同じメニューを食べている僕と登の間で、なんで味覚に違いがでるんだろうか……」
「清治、そりゃ好みの問題だろ」
「だよな。」
そして、こんな会話をしつつも結局は同じチャーハンを口に放り込んでいたりするのが、僕
木村 清治という人間だ。
自分でも堅苦しさとか、思考が哲学的だとかで一般人とは少しズレている自覚はある。
「ゴールデンウイークも結構前に終わっちまったし、中間テストも結果が全部返ってきたし、これからどうすっかなー」
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