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あの、美咲さん。
・・・
いま、負けたっておっしゃりました?
「アタシなんか21点だよ……」
ちょっと耳が腐ったみたいだから放課後に病院行ってくる事にするよあでも治療費足りるかな今月はごはんとお茶だけになるかもしれないな足りなかったら山口先生に相談してみようか
……変だな、田浦は中等部最後のテストは難無くクリアしてた筈だけど。
いつの間にそんな成績を取るようになった
「田浦ってそんなに成績悪かったっけ?」
「下がっちゃった。
あ、ちゃんと再試は受かってるよ?」
たったの三ヶ月で赤点レベルまで墜ちていたのは、どうも疑いようのない事実で。
・
どうやら田浦も登と同じく成績不振者にカテゴライズされるようになっていたらしい。
「……アタシだって赤点くらい取るわよ。 口開きっぱなしよ、みっともない」
古畑にとっても、田浦の赤点は予想外だったらしい。
さっきから開いた口が塞がっていない。
その身長と精悍な顔付きでそんな顔するな。 間抜けに見える。
で、僕にとっては二人しかいない親友の二人ともが赤点発再試素通り補習経由欠点逝きの片道切符を受け取ろうとしている、なんてのは本当に大事件な訳でして
「……もうさ、田浦も追加で2名様ご案内。
今日から期末テストまで、しっかりみっちり『特訓』するよ」
脅すような低い声で告げる宣告の、闇を孕んだような声色に自分のテンションのおかしさを知る。
しかし確実に疲れるであろう講師役を引き受ける自分がいるのは、至極当然の流れだった。
こんなもんが僕の日常
死に物狂いの戦いも現実逃避も必要ない、少し特殊なだけの学園生活
厄介事を抱え込むのが僕の日常なのか?
でも、見捨てたりなんかは出来る訳がない
二人と話してるのはなんだかんだで楽しいし、僕は成績不振な親友を放っておけるような人間じゃない。
何より、居場所は此処にしかないのだから。
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