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『先生涙目wwww』
クラスの所謂馬鹿筆頭、赤松に言わせれば今日の一番印象深かった事はこう表現されるのだろう。
いや、こりゃあ駄目だと思ったね、うん。
午後の授業、数学の時の事
先生に当てられて『Sinθの求め方』を答えよ、って言われた田浦は直後に降参、次に当てられた登も呆気なく撃沈した、それだけ。
――――という訳で、この応用問題では△B-D-Cについて∠Bに関するSinθが導出出来れば答えはすぐ出るんだが……復習だ、Sinθの求め方を、田浦」
「分かりませんっ!」
「……じゃあ後ろの古畑」
「えっと……角度÷高さ、ですか?」
「………………三条、頼む」
「高さ÷斜辺です」
「そう、斜辺ぶんの高さ! じゃあこれに代入して木村――――
見ていられなかったよ、本当
尾芽先生(数学担当、髪型が奇抜)の望みを託すような追い詰められたような視線は、見ていて気持ちのいいモノではなかった。
『一旦生徒に質問を降ったなら、答えは自分からは絶対に言わない』
そんな枷を自分に課している、生徒が考え理解する授業を理想とする先生にとっては思考放棄をする生徒達はある意味天敵にも匹敵するのだろう。
※この範囲のテスト前にこれが答えられないのは、二桁×二桁の掛け算をするにあたって九々が言えないのと同じようなものです。 絶望的ですね。
数学がコレだった。 他の教科も似たり寄ったりなんだろうな。
そう結論付けて二人を寮の部屋に呼び、勉強会は開催される事となった。
基礎を思い出させたら解けるようになると思ってたんだ、この時は。
でも、すぐに認識を下方修正せざるを得なかった。
事態は思っていたよりも深刻だったらしい。
先生の話を聞いていなかったとか、ノートをとっていなかったとか、そういうレベルじゃない。
二人は僕の教科書を覗き込んで頭オーバーヒートさせていて、理解出来ていない事は明白だ。
話にならない。
「分からない事ってある?」
「まずさ木村っち、『単位円』って何?」
「清治、『たんじぇんと』って何なんだ?」
よく再試クリア出来たな、田浦。
……古畑の学力?
基礎から教えるしかないじゃないか。 まさに絶望的だ。
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