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蒼くんをすきになったのは三ヶ月前。
その時の私は、蒼くんが中学から続いている綾貴の彼氏だとは、知っていた。
でも話したこともなかった。
蒼くんと初めて喋ったのは、体育の時間だった。
一組と二組が合同で体育をしていた。
私が一組で、蒼くんが二組。
私達は偶然にも、同じ見学者だった。
その時の私は、暑さのせいで軽く熱中症にかかっていて、すごく気分が悪かったのを覚えている。
私が気分を悪そうにしているのに、蒼くんは気付いたのか、私の傍にきて
飴を差し出してきた。
「大丈夫?顔色悪いぜ。飴食べて、元気だしな」
蒼くんは笑顔でそう言ってくれた。
見た目はチャラチャラしてるのに、笑顔はすごく可愛くて、温かかった。
「あ、ありがとう…」
「あんた、綾貴の友達だよな?」
「はい…。佐藤くんは、綾貴の彼氏だよね…?初めまして。咲坂玻琉です」
「俺、佐藤蒼(さとうあお)。よろしく。あ、体調大丈夫?」
「よろしく…。うん、大丈夫。本当、ありがとう」
「礼なんていらねーよ。綾貴の友達は俺の友達だからさ!」
「佐藤くんって…いい人だね」
見た目がチャラチャラしてるから、怖そうな人って思ってた…。
綾貴に紹介するって言われた時も怖かったから、断ったんだけど…紹介、してもらえばよかったな。
「んなことねーよ。普通だろ。あ、佐藤じゃなくて蒼でいいよ。友達だろ!」
「うん!」
そして当然、熱中症が飴なんかで治る訳もなく、そのあとやっぱり気分が悪くなって私は保健室に行き、会話はそこで終わった。
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