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そんなことを考えているうちに放課後になった。
今日は私の入っているバスケ部がお休み。
暇だな、と思っていると綾貴に話しかけられた。
「玻琉~今ちょっと時間ある?」
「うん!今日は部活も休みだし、暇だよ~」
「じゃ、こっちきて!」
そう言われ、綾貴に連れて来られたのは……野球部の部室だった。
「着いた!中入ろ」
「えっ?勝手に入っていいの?」
「全然いいよっ!綾貴、マネージャーだもん」
…そっか。
そういえば、綾貴って野球部のマネしてたんだっけ…。
確か…蒼くんって…野球部だったもんね。
「どーぞ?」
考え事をしてずっと中に入らない私を見兼ねて、綾貴が言った。
「あっ、うん。ありがと」
そう言って中に入った。
野球部の部員が楽しそうに話している。
今日の練習メニューを決めているのだろうか。
「みんなー!今日から、綾貴の代わりに一ヶ月マネをつとめてくれる、咲坂玻琉ちゃんだよっ」
私は綾貴の話にびっくりした。
そんな話聞いてない!
「あ、綾貴?!私、マネなんて…」
と言いかけると綾貴が
「お願い!綾貴ね、これから一ヶ月交換留学に行くんだ…。でも、野球部は大会前の大事な時だし、合宿とかもあるのに、マネがいないのは大変なことなの!こんなこと、玻琉にしか頼めないし…一生のお願いだから!一ヶ月間だけ!お願い」
と言った。
交換留学とは、年に一度あって、学年で1人選ばれ、フランスにあるうちの学校の姉妹校に一ヶ月ホームステイしながら通うのだ。
交換留学…綾貴、ずっと行きたいって勉強頑張ってたし、
学年で1人しか選ばれないのに、綾貴はその1人に選ばれたんだ…。
「…わかった。ちゃんとできるかわかんないけど、綾貴が安心して留学できるように頑張るよ!」
「ありがと~玻琉!」
「ずっと行きたかったんだもんね…。すごいじゃん!おめでとう。楽しんできなね!」
「ほんとありがと~玻琉だいすき!あ、じゃあ部員さん達にも説明するね」
私達が話している間、ずっとキョトンとした顔でこちらを見ていた部員達に綾貴は話しだした。
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