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「あーあ。人類死滅しねーかなー」
少年は呟く。誰もいなくなった教室で1人。
掃除を押しつけられた。手に持つ箒を持て余し、掃除道具を入れるロッカーの中に乱暴に突っ込む。
人が下手に出てりゃつけあがりやがってあの蛸ども。いつかボコボコにしてやる。
鞄を持ち、教室から出る。窓の先、校庭では何らかの部活が必死こいてグラウンドを走っていた。
「……」
少年、須藤太一はいつものように携帯電話を取り出す。白色のスライド式の携帯。中学二年の時に買ってもらった。お気に入りの奴だ。
顔を覆い隠す程長い長髪、その奥から覗く瞳は静かに爛々とした光を放ち携帯の画面を見つめていた。
太一は怖い話が好きだった。都市伝説も割といける。
校舎を出た所で夕陽で携帯の画面が見づらくなり太一は眉を寄せる。
「チッ……」
太一は小さく舌打ちすると、日陰を歩き始めた。
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