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「ふざけるな。俺から杏子を奪う奴は誰であろうと許さない。たとえそれが、いも――」
「はい、何でしょうか、兄さん?」
「憐れな犬めに、御慈悲を。撫子様」
俺の言葉を遮った時の撫子の後ろに、般若がおりました。はい、恐いですね。鬼には喧嘩を売ってはいけません。優さん学ばせて頂きましたっ。
撫子は俺の言葉に半分満足し、半分呆れた様子で肩を竦める。そして、やっと玄関を出発する俺達。旅の始まりは長いですね、わかります。
◆◆◆
俺が撫子の話を右から左へブレイクスルーしながら街を歩くこと数十分。撫子は、俺が適当に相槌をうっていることに気付いていないのか、しきりに笑顔で話している。君のそのスマイルだけで大半の男にょ子はイチコロッスね。だが俺には効かない。俺には(以下略)。
「って、兄さん聞いているんですか?」
「うん、もちろん」
もちろん聞き流しているぜぃ、マイシスター。でもコレは言わないヨ。だって、おっかねぇもの。てへっ☆ はい、キモいですねー。ありがとうございます。
もうすぐで俺の通う薫風学園と撫子の通う中学の分かれ道に到達する。それまでの辛抱だ、俺! 杏子、待っててな!
「兄さん、いいですか? 私が近くにいないからといって、知らない女の人に声を掛けられて付いていってはダメですよ?」
俺はちっちゃい子供か? つか、女限定ってのがスゲーな。男の心理をよくお分かりで。
「大丈夫だってばさ。何度言やわかんだよ。俺はリアルの女には興味ないの」
あるのは恐怖さっ。主にリアル妹に対してね!
某巨大兵器達のシミュレーションゲームでも、リアル女だけは選ばねぇっ。はい、これテストに出るからな。
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