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「本当ですか? 兄さん、流石は私の兄さんって言うだけあって、かなりの二枚目なんですよ? オタク部分を抜けば兄さんの成分は優しさとイケメンとスポーツ万能がほとんどを締めてるんですからね」
つまり、九割ほどオタクで出来ていると。そう言いたいのかい、マイシスター? 襲っちゃうぞ、こら♪ もち、返り討ちに遭いますがネ!
体はオタクで出来ている。ただの一度も勝利はなく、ただの一度も理解されない。その体はきっとオタクで出来ていた。はい、意味わかりませんね。ありがとうございました。
「ふっ、惚れるなよ」
イケメンはともかく、体はそれなりに鍛えてますからね、ワタシ。
何故、俺が体を鍛えようと思ったのか。その想いの起源はいつだったか、俺は靄がかかったかのように曖昧だ。メモリーズ・オブ・アイマイ。ごめんなさい、言ってみたかっただけです。
「惚れ直す事はあっても、今から惚れることはありません。だって、私はもうとっくに兄さんに首ったけですから♪」
ほぅ、首ったけだとぅ? そんな死語かもしれん言葉を使ったって、嬉しくないんだからね! はい、ここは重要です。メモりなさい。
「あ」
と、声を上げ、さっきまで天真爛漫な笑顔を浮かべていた顔に陰が差す。どうやら、分岐点(Y字路)に着いたようだ。
「そんじゃあ、こっから別々だな、撫子」
俺は当たり前の事を敢えて口に出し、妹に理解させる。認めろ、これが現実だ。
しかし、その妹様から、
「嫌です」
――と言う、謎の一言が出現。
「は?」
いやいや、何を言っている。俺は、早く、杏子と、登校デートと、しゃれこみたいんだよ。
「兄さん、行っちゃヤです」
ほぅ。なんか知らんが、袖を掴まれちまったぜ。しかもギュッとしはってますぜ、アニキ。助けてください。
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