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「そうです! サボりましょう、兄さん!」
「アンタはいきなりなんなんだ!」
「私は兄さんが好き。兄さんも私が好き。だからロミオとジュリエットは駆け落ちなんですよ、兄さん!」
「アンタはいったいなんなんだ!?」
ヤベーよ、妹壊れちゃったよ! パパの大事なクラリネットが壊れちゃうぐらい粉々だぜぃ! 修理は何処に出せばいいですか?
「兄さん、とりあえず結婚式場へ行きましょう! 子供は男の子と女の子の一人ずつが良いですね! 名前は――」
「ちょいちょいちょいちょーーーいっ!!」
待てや、コラ。何一人で銀河の果てまでオーバーフローしてやがるんだ。
「――兄さんが考えてください。可愛い名前にしてくださいね、私と兄さんの子供なんですから♪」
はぁい、止まりましぇーん! 一時停止ボタンを押してもなっちゃんの妄想機関車は突き進みます! テリ●マン助けてください! もしくは、ア●ロでνガ●ダムに乗って止めてください!
「さぁ、行きましょう兄さん! 私達の、無限の彼方へ!」
テメエはバ●ライ●イヤーか! 残念だが、俺はスペースをレンジャーするつもりなど毛頭ない。帰れ!
「HANASE! 俺は杏子とキャッキャウフフするんだ! こんなところで止まる男でははないわぁぁあああっ」
俺は身を翻し、撫子の魔の手から脱出、そして学校に向けてダッシュする。服を掴まれたときの脱出方法など、中学校不良時代に修得しておるわ!
「そんな、兄さん! 行かないでください! いっちゃヤだよ、にいさぁん…!」
妹の言葉に、首だけ回して後ろを確認した。
撫子の白い美脚がアスファルトの地面に倒れ、瞳を潤ませて俺に懇願している。
(撫子……)
切なそうな表情で撫子を見つつ、内心恥ずかしい思いをしている俺。
(周りから見たらヤバイぞ、この状況)
もう、ハラハラドキドキがスパイラルしてるね! さっさと逃げなきゃ!
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