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それから幾年月。俺は離れていたこの地に再び腰を落ち着けることとなった。
駅から徒歩十分。ただいま懐かしき我が故郷にある懐かしき我が家の前に立っている。
ただ呆然と直立。オーケイ、懐かしいじゃねーか。感動する前に、目の前に広がる庭の荒れように唖然とする。
「えっと……ここ、なんですよね、兄さん?」
ナイスガイな俺の事を兄さんと呼ぶのは、隣で俺様同様に唖然としているマイシスター。真名は“撫子”と言う。愛称は“なっちゃん”と言う。
「ああ、そうだぞぅ、なっちゃんよ」
なっちゃんはなっちゃんと言うんだ。だから俺はなっちゃんと呼んでやる。
「なっちゃん言わないで下さい。舌を三枚におろしますよ?」
「オーケイ。了解した、撫子様」
目がマジだった。殺すと書いてマジだった。
「まったく、誰のせいで引っ越すことになったと思ってるんですか…」
撫子が嘆息するように愚痴る。
「仕方ないだろ、それは。母さんも政さんも新婚なんだから、二人っきりにさせたいじゃん」
「ま、それもそうですね」
渋々納得する撫子。
ちなみに、政さん―――本名は天草政宗―――は俺の義父である。
父さんが死んで片親になってしまった俺の新しい父である。撫子は政さんの実子で俺とは血の繋がらない一つ下の義妹でギャルゲー的位置になっている。
だが、残念。俺には杏子(二次元)がいる。リアルに希望を持つ気など毛頭無い。
妹分は杏子(二次元)がくれるからな! ミィコ(二次元)も猫又ロボットでありながら俺を癒してくれるしな!
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