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「もぅっ! そういう事するなら、私も兄さんのベッドで寝ちゃいますよ」
「おはよう、マイシスター。良い朝だね!」
撫子の言葉に全身で悪寒を感じ、腹筋の力のみで起き上がる。逝ってくるよ、ボクの嫁。
「ちょっと、それはどういう意味ですか? に・い・さ・んっ……!」
なん……だと? 今の選択肢は間違いなのか? ヤツの戦闘力が跳ね上がったのが肌で感じるように判った。これは、覇王色の覇気!?
はい、マズイですね。ギャルゲーで言うところの、死亡フラグですね。はい、わかります。
「我が愛しの妹よ、兄はまだ死にたくないぞな」
「兄さんが私の事を死ぬほど愛しているのは知ってます。で・も、これは別です♪」
………ほぅ。いつのまにか、俺様は撫子の事を死ぬほど愛していたらしい。知らなかった。
「別?」
とりあえず、俺の聞き間違いかと思い、先程の言葉を疑問文で返す。
「はい、べ・つ・です♪」
可愛く肯定文で返された。なっちゃんパネェぜよ。
俺は男らしく潔くベッドの上で正座をし、ゆっくりと頭を下げる。
「日本古来より受け継がれし究極秘技“DO・GE・ZA☆”!!」
どうだ、凄いだろう。アンちゃんカッコいいだろう。さぁ、『御見逸れしました』と言え!
「いや、それを口で言ったら意味が無いと思いますよ…」
呆れられた。なん……だと?
「御見逸れしました、撫子様」
俺は素直に感服し、誠心誠意真心込めて撫子様に土下座した。
「まったくもう……ほんと、兄さんは話を逸らすのが好きなんですね」
「ああ、それが俺の数あるアイデンティティーの一つだからな」
「はいはい、わかりましたよ。今回は私の敗けでいいですから、いい加減準備を始めてください」
撫子は、仕方がない、といった感じに肩を竦めて俺に着替えを促す。やっぱりボクは手間の掛かる子供なんですね。はい、ごめんなさい。
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