一章一話 疑似恋愛

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「もぅっ! そういう事するなら、私も兄さんのベッドで寝ちゃいますよ」 「おはよう、マイシスター。良い朝だね!」  撫子の言葉に全身で悪寒を感じ、腹筋の力のみで起き上がる。逝ってくるよ、ボクの嫁。 「ちょっと、それはどういう意味ですか? に・い・さ・んっ……!」  なん……だと? 今の選択肢は間違いなのか? ヤツの戦闘力が跳ね上がったのが肌で感じるように判った。これは、覇王色の覇気!?  はい、マズイですね。ギャルゲーで言うところの、死亡フラグですね。はい、わかります。 「我が愛しの妹よ、兄はまだ死にたくないぞな」 「兄さんが私の事を死ぬほど愛しているのは知ってます。で・も、これは別です♪」  ………ほぅ。いつのまにか、俺様は撫子の事を死ぬほど愛していたらしい。知らなかった。 「別?」  とりあえず、俺の聞き間違いかと思い、先程の言葉を疑問文で返す。 「はい、べ・つ・です♪」  可愛く肯定文で返された。なっちゃんパネェぜよ。  俺は男らしく潔くベッドの上で正座をし、ゆっくりと頭を下げる。 「日本古来より受け継がれし究極秘技“DO・GE・ZA☆”!!」  どうだ、凄いだろう。アンちゃんカッコいいだろう。さぁ、『御見逸れしました』と言え! 「いや、それを口で言ったら意味が無いと思いますよ…」  呆れられた。なん……だと? 「御見逸れしました、撫子様」  俺は素直に感服し、誠心誠意真心込めて撫子様に土下座した。 「まったくもう……ほんと、兄さんは話を逸らすのが好きなんですね」 「ああ、それが俺の数あるアイデンティティーの一つだからな」 「はいはい、わかりましたよ。今回は私の敗けでいいですから、いい加減準備を始めてください」  撫子は、仕方がない、といった感じに肩を竦めて俺に着替えを促す。やっぱりボクは手間の掛かる子供なんですね。はい、ごめんなさい。
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