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「ごめんね。何にも知らなくて…」
岳ちゃんに呟くと、
岳ちゃんは、
「怖かったんだ…」と涙を押し殺した声で小さく言った。
「本当のことを知って、陽が離れて行ってしまうことが…
俺の両親の墓参りに行かなかったら…
陽から両親を奪うことは無かったのに…」
奥歯を噛みしめてこらえている岳ちゃんは、
今までどれだけ苦しんだんだろう…
押しつぶされそうな苦しみを抱えて、
いつだって私を守ってくれた。
お互いを必要とし、
支えあって生きてきた。
それだけで、私には十分な
「家族」なんだ。
だから小さい頃呼んでいたように、
小さい頃よくそうしたように、
岳ちゃんの胸に飛び込んで泣いた。
「ごめんね。私…もっと強くなるから…私も、お兄ちゃんのことを守れるくらい…」
岳ちゃんは一瞬驚いたようだったけど、嬉しそうにして、
ギュッて小さいころしてくれたみたいに抱き寄せてくれた。
心地いいぬくもりは、家族で過ごした優しい時間みたいだった。
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