夏の思い出は幽かな香りを漂わす。

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カーテン越しの窓からは耐え切れずに透かされた太陽の光が漏れていた。 僕はその光を逃がすためカーテンを勢い良く開く。 少し鬱陶しいくらいの太陽の光に目を細めつつ、網戸越しに外の世界を覗くと、見慣れた緑が広がっていた。 見慣れた田舎。僕の愛する町である。 コンビニに行くのですら自転車で片道2時間弱、往復したらそれだけで高校生の1日の大半を浪費してしまうくらいの手間だ。 だがしかし、バスはある。 1日数本だけど。 都会に憧れは多少ある。 両親は仕事で東京に住み込んでいるため、たまに土産話を聞いたりすると、やはり若さなのか好奇心をくすぐられる。
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