記憶

10/16
137人が本棚に入れています
本棚に追加
/463ページ
おじいちゃんの葬式は覚えていないませんが、ある日、少し離れた場所にある、しんちゃんという同い年の子のおじいちゃんが死にました。 葬式の記憶はありませんが火葬の記憶はあります。 しんちゃんとワタシの家の間には渓流があって、少し広めの中洲があります。 そこに 大人達が集まって木材でやぐらを組むのです。大きいやぐらです。 その上にしんちゃんのおじいちゃんのおかんを乗せ火をつけます。とても大きい火になります。 大人はワタシに「火が着いてくると手が延びたりするんだ」と教えてくれました。 怖くはなかったけれど 確認できたので帰りました。 そののち しんちゃんとは仲良くなりますが しんちゃんは絶対 ワタシの家には遊びに来ません。その火葬場の側を通って来なくてはならないからです。 人の気持ちがわからなくて、しんちゃんは、なんて気が小さいのだろうと馬鹿にしていたように思います。 その 中洲での 火葬はしんちゃんのおじいちゃんが最後でした。
/463ページ

最初のコメントを投稿しよう!