疎まれ屋の少年

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 悪いのは明らかに兄達なのに、何故そのような理不尽な結末となってしまったのだろうか。その背景には、楽陽の日頃の行いがあった。  父・楽頑(がくがん)には、楽陽含む四人の息子と二人の娘がいる。しかし楽陽だけは養子で、父の嫡子ではなかった。  自分が養子として迎え入れられた当時の記憶は、楽陽には無い。おそらく、その頃の自分はまだ赤ん坊で、働き手が増えるという理由で、楽夫妻も快く受け入れてくれたのだと思う。  だが、成長した楽陽は、実はとんでもない怠け者だった。野良仕事の一切をやりたがらなかったのである。  いや、正確には、楽陽は野良仕事に興味が無かった。娘達の機織りにすら関心を示さず、いつも親の目を盗んでどこかをふらついては、家の隅にある自分の部屋に閉じこもってばかりいたのだ。  王に納める税の為にこちらは必死で働いているのに、何もしないで一人サボっている楽陽を家族が嫌うのは、当然の流れであった。  だからその事件でも、楽一族の長である父は、日頃仕事をしている兄達に味方したのである。  楽陽の大切な物を徹底的に破壊した挙げ句、怒り悲しむ彼を一方的に投げ飛ばしたという非道を棚に上げて。
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