第一話

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「うぅーん」 「どったの、りっくん?そんなむず痒そうな顔して」 オレの眼前の少女、猿渡瑞季は不思議そうな顔をする。 現在登校中、天気は快晴だ。雲ひとつない青空の下を、オレと瑞季は歩いていた。 「いや、なんだ。こうも晴れてると、いつもなんとなく居心地が悪いというかなんというか……」 「晴れ、嫌いなのかい?」 「別に嫌いってほどじゃないけどな。まぁイエスかノーでいえば……イエスになんのか。どっちかっつったら苦手っていうか」 「ふーん、なんか意外かも。ほら、『戌は喜びなんとやら』って言うし」 「『庭駆け回る』な。そこまで言ったら思い出せよ。しかもその天気は雪だ」
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