番外編

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「進学……のつもりだったけど、最近は就職にしようかな、って悩んでる。お父さんは何も言わないけど、無理させちゃうだろうし。大学に行ってこれがしたい、って目標も特にないし」 あぁ、でも…… 就職にしろ、進学にしろ、先生の近くに居ることは、きっと叶わないんだろう。 今みたいな遠距離恋愛 がこのまま続くんだと思うと、胸の中に不純な不安が生まれる。 「……家の事情は色々あるし、何も言えねぇけど……別に目標なんてなくても、大学行ったっていいんじゃねーの。いろんな土地から、いろんな人間が集まる場所で、いろんな刺激を受けるのもいい経験だし。やりたいこと見つけるのに、遅いも早いもねーしな」 「うん……」 そりゃ、大学にはやっぱり憧れるし、興味がある分野もないわけじゃない。 じっくり考える程、時間に余裕がないのも分かってる。 だけど、早く大人になって先生に追いつきたい、と思う気持ちもある。 社会人になれば近付ける、なんて安直過ぎるけれど。 不安なんだ。 先生との距離が、遠すぎて。 「最悪、永久就職って手もありかなー、なんて」 冗談っぽく笑って言いながら、先生の気持ちを測ろうとする私は、ずるい。 「……まっ、受験も就職もダメだったら、それもいいんじゃね?」 「バーカ」なんて罵倒の声が返ってくると踏んでいた私は、予想外の肯定の言葉に驚いて、顔が綻んでしまう。
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