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「あ、ほんとだ」
気づかないうちに、自分の帰る家が目の前にあるのに気づく。
「やっとか、じゃーな春樹。行くぞ、颯」
「あっはい。副部長、いつも送ってくれてありがとうございます」
副部長にいつものようにお礼を言い頭を下げると、部長の後に続いて玄関に向かう。
「また明日ね。俊之、颯ちゃん」
笑顔で手を振ってくる副部長に振り返し、部長に続いて家に入っていった。
「ただいま帰りました」
ローファーを脱ぎ、スリッパに履き替えながら玄関で声をあげるとパタパタとした音が聞こえてきた。
「お帰りなさい。俊之、颯ちゃん」
「おぅ」
「ただいま、美之-ミユキ-さん」
玄関まで出迎えてくれたのは部長のお母さんである美之さん。
実を言うと、わたしは部長の家に住まわせてもらっている。
いわば、居候である。
両親が亡くなってしまった時に誰もわたしを引き取ってくれず、途方に暮れていたわたしを部長が助けてくれた。
突然部長が連れてきた赤の他人であるわたしを、部長の家族である美之さんは快く迎えてくれた。
とても優しい人だ。
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