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あの頃のわたしは、いつも泣いていた。
引っ込み思案で友達もまともに作れず、
ただ、1人が寂しかった。
だから、いつも泣いていた。
あの日も、いつもの場所で────
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小学校からの帰り、通学路の途中にあるこじんまりとした神社。
地元の人しか訪れないこの場所は、人気が少なく、隠れて泣くにはうってつけの場所だった。
いつもの定位置に座り込んだ背にあるのは、この神社の御神木。
わたしの何十倍もあるそれは、不思議と安心感をくれた。
「えっぐ......うっ、ぐすっ.....」
目からいくつもの涙がこぼれ、必死に手で拭うがすぐに手から零れ落ちる。
ただ寂しさだけが、頭を一杯にしていた。
「......ねぇ、なんで泣いてるの?」
その時ふいに声をかけられ、手を止めて顔をあげる。
いつもなら誰も足を運ばないこの場所に、1人の男の子がいた。
男にしては可愛い顔立ち。
ポニーテールにした髪を風になびかせながらこっちを真っ直ぐ見ていた。
「ねぇ...…どうしたの?」
ぼーっと見ていたら、大きなたれ目を不安げにゆらしながら話しかけてきた。
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