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帰りのホームルームも終わり、部活に行くため荷物をまとめる。
「そーう!!今日も部活?」
名前を呼ばれて顔を上げると、友達の亜希がスクールバックを手にわたしの机の前に立っていた。
「うん、今日も部活なんだ」
「たまにはあたしと帰ってくれてもいいのにー。毎日部活じゃん」
「ごめんね」
部活が忙しくてなかなか一緒に帰れないのは事実で、罪悪感が芽生える。
申し訳なく謝ると、亜希は不満そうな顔を一転させてにこっと笑った。
「大丈夫!!颯にはいつも頼りにさせてもらってるから、このくらい我慢するよ!!」
予想外の反応にぽかんとしていると、亜希は満面の笑みで別れを告げるとそのまま教室を出て行ってしまった。
『僕がすっごい大好きな人が言ってたんだ。独りが嫌なら、人の役に立ちなさい。そしたら人は答えてくれるって』
今のわたしは、人の役に立ててるのかな?
亜希の背中を見ながら、ふと思った。
幼い時に交わした約束。
ずっと忘れず、ただまたあの少年と会った時に恥ずかしくないように、役に立とうとしてきた。
あの少年は、今どこにいるのだろう?
「……ふぅー」
気持ちを吐き出すように息を吐くと、まとめた荷物を持って部活に行くために教室を出た。
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