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ホームルーム直後の騒がしい教室とは打って変わり、静かな空気がその場を包む。
制服ではなく、道着に身を包んで小さく深呼吸すると、静かにその場に立ち上がった。
そのまま左手に持っている弓を構え、右手に持っている矢を弓にあてて的前に立ち、弓構えを整えて弓を引く。
ギリリと鈍い音を立て、弦いっぱいに引っ張ると標準を定め、矢を放った。
トスン
綺麗な弧を描いて放たれた矢は的の真ん中を射ぬいた。
それを見たわたしは浅く息を吐き、一礼した。
弓を壁に立て掛けてから道場の隅に行くと柔らかい声が迎えてくれた。
「颯ちゃんお疲れ様。見事だね」
「……副部長、ありがとうございます」
優しい笑みで労いの言葉をかけてくれた副部長に笑顔で返すと、横から不機嫌そうな声が聞こえた。
「けっ、あんくらい出来なきゃうちのエースはつとまんねぇよ」
「部長.....」
いつもと変わらぬ態度の部長に。わたしは思わず呆れてしまった。
男女混じってる本校の弓道部は現在、部長と副部長ともに男である。
『鬼』と『仏』
部の中で部長と副部長はそう噂されている。
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