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部長の鋭い眼力が効いていないのか、副部長はにっこり部長に笑みを向けている。
そして、ズバリと言い放った。
「だって、俊之は歩く性器だから」
弓道部での様子を見ているだけじゃ絶対に想像つかない副部長からの卑猥な言葉。
他の弓道部員がいたら慌ててしまうだろうが、慣れてるわたしは動じずに言われた部長を見る。
部長の眉間には、深い皺が刻まれていた。
「てめえ、昔から笑顔で苛つくこと言いやがって……俺に喧嘩売ってんのか?あぁ?」
部長の綺麗に整っている顔が怒りでみるみる歪んでくる。
今にも怒鳴りそうな雰囲気に流石に焦り、副部長を見るが、副部長は気にしてないように笑っていた。
「……副部長?」
呼びかけると副部長は人差し指を口に当て、しーっとするとまた部長を見てニコニコする。
不思議に思っていると、隣から大きなため息が聞こえた。
「あー、もうわかったよ!!俺が悪かったよ!!ったく」
副部長の笑顔の威圧感に負けたのか、部長は頭を豪快に掻きながら言い放つと私達の少し前を歩き始めた。
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